この記事の要点
米格付け大手ムーディーズ・レーティングスは2026年3月17日、信用格付けデータをブロックチェーン上で直接利用可能にする新システム「トークン・インテグレーション・エンジン(TIE)」を発表しました。
この取り組みは、信用格付けをオンチェーンで提供する初の事例であり、機関投資家向けブロックチェーン基盤「カントン・ネットワーク(Canton Network)」への統合をすでに開始しています。
これまで信用格付けデータはオフチェーンでの参照のみに限られており、ブロックチェーン上で資産運用やリスク管理を行う機関投資家は取引のたびに別システムへの照会が必要な状態が続いていました。
今回のTIE統合により、機関投資家はブロックチェーン上のワークフロー内で信用格付けデータに直接アクセスできるようになると同社は説明しています。
ムーディーズは今後、カントン・ネットワーク以外のブロックチェーンや複数の資産クラスへの展開も視野に入れているとしています。
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ムーディーズが初期展開先にカントン・ネットワークを選んだ背景には、2024年6月にフィンテック企業Alphaledger(アルファレジャー)と実施したパイロットプログラムがあります。
同社はこの検証を通じて、オンチェーン環境での格付けデータ提供の実現性を確認しており、こうした成果が今回の正式展開につながったと明らかにしています。
展開先として選ばれたカントン・ネットワークは、機関投資家向け金融用途に特化したパーミッション型(許可制)ブロックチェーンで、既存の金融インフラとの整合性やコンプライアンス対応を重視した構造を持っています。
ムーディーズは同ネットワーク上に自社ノードを運用しており、TIEはネットワーク非依存型の設計として、既存のガバナンスのもとで発行体がアクセス権限を管理できる構成となっています。
同社はこの体制により、機関投資家が求める規制対応と柔軟なアクセス管理を両立できると説明しています。
今回のムーディーズ統合により、同ネットワーク上でリスク管理や資産運用を行う機関投資家は、これまで別途照会が必要だった信用格付けデータをワークフロー内で直接確認できるようになります。
格付けデータのオンチェーンアクセスが機関投資家の取引に組み込まれるのは業界初となります。
カントン・ネットワークへの大手機関の集積は2025年後半から加速しており、2025年11月には米資産運用大手Franklin Templeton(フランクリン・テンプルトン)が投資プラットフォーム「Benji(ベンジ)」をカントンに拡張しました。
同社はこの拡張により、トークン化された米国政府マネー・マーケット・ファンドを担保や流動性として活用できるようにしたと明らかにしています。
2025年12月には米国の決済・清算インフラを担う預託信託清算機関(DTCC)が、米国財務省証券の一部をカントン上で発行する計画を発表しました。
2026年1月にはデジタル・アセット(Digital Asset)とJPモルガンの決済基盤「Kinexys(キネクシス by JPMorgan)」が連携し、ドル預金トークン「JPMコイン(JPM Coin)」のカントンへの導入計画を発表しています。
こうした大手機関が集積する環境にムーディーズの信用格付けデータが加わることで、機関投資家は決済・清算からリスク評価まで一連の金融プロセスをブロックチェーン上で完結させられるようになり、今後の動向に関心が集まっています。
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Source:MOODY’S発表
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