ブロックチェーン上で米国債などの資産をトークン化する市場が急速に拡大する中、ステーブルコイン「USDコイン(USDC)」の発行企業Circle(サークル)がこの分野で最大のプロバイダーとなった。
RWA.xyzのデータによると、サークルが手がけるトークン化米国債トークン「USYC」の供給量は約22億ドル(約3410億円、1ドル=155円換算)に達し、BlackRock(ブラックロック)の同様のプロダクトを上回った。
これにより、これまで市場をリードしていたブラックロックの「USD Institutional Digital Liquidity Fund(BUIDL)」は2位となった。BUIDLは現在、約20億ドルの資産規模を持つが、市場シェアは2025年5月の46%から現在は約18%まで低下している。新規参入の増加により競争が激化していることが背景にある。
トークン化現実資産市場が拡大
トークン化された現実資産(RWA)は、暗号資産(仮想通貨)市場における新たな成長分野となっている。特に米国債やマネーマーケットファンドをブロックチェーン上のトークンとして発行する仕組みは、暗号資産トレーダーや機関投資家の間で利用が広がっている。
これらのトークンは、利回りを得られる資産として機能するだけでなく、取引戦略における担保としても利用できる点が特徴だ。従来の金融インフラとは異なり、ブロックチェーンを利用することでほぼ即時の決済、透明性の高い資産管理、そして24時間アクセス可能な市場を実現できる。
また、トークン化された米国債は、単に現金やステーブルコインを保有する場合と比べ、利息を得ながら担保として活用できるため、資本効率を高める手段として注目されている。
サークルがこの市場に参入したのは2025年初頭だ。同社はトークン化米国債トークンUSYCを発行する企業Hashnote(ハッシュノート)を買収し、トークン化ファンド事業を開始した。
その後、USYCの供給量は急速に拡大し、現在ではトークン化米国債市場の最大規模に成長している。
BNB Chainで急成長
USYCの最近の成長は、BNB Chain(BNBチェーン)上での利用拡大と密接に関係している。暗号資産取引所大手Binance(バイナンス)が、機関投資家向けデリバティブ取引の担保としてUSYCを利用できる仕組みを導入したためだ。
この仕組みでは、USYCは「Binance Banking Triparty」という銀行パートナーとの枠組みで保有することができるほか、バイナンスの機関向けカストディプラットフォーム「Ceffu」を通じて保管することも可能となっている。
この取り組みにより、BNBチェーン上のUSYC供給高は約18億4000万ドルまで増加した。
サークルのCEOであるJeremy Allaire(ジェレミー・アレール)氏はXへの投稿で、「トークン化された米国債やレポを担保として利用するユースケースは重要な成長分野だ」と述べ、「この市場がこれほど急速に拡大していることを誇りに思う」とコメントしている。
市場規模は過去最高
トークン化米国債市場全体も拡大を続けている。RWA.xyzのデータによると、市場規模は現在110億ドルを超え、過去最高を更新した。
今年に入ってから市場は約25億ドル拡大しており、これは約27%の成長に相当する。
興味深い点として、この成長は1月の暗号資産市場の下落局面でも加速した。市場参加者の一部が、資金をトークン化米国債に移して利回りを得ながら、次の投資機会を待っている可能性があるとみられている。
トークン化米国債の拡大は、暗号資産市場と伝統金融の融合が進んでいることを示している。ブロックチェーン上で安全資産を保有しながら、同時に暗号資産市場での取引や担保として活用できる点が、多くの投資家にとって魅力となっている。
|文・編集:Shoko Galaviz
|画像:サークルのアレールCEO(CoinDesk JAPAN)
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