暗号資産(仮想通貨)取引所Kraken(クラーケン)の銀行部門「Kraken Financial(クラーケン・ファイナンシャル)」が、アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)にマスターアカウントを承認されたことを受け、アメリカの銀行を代表する業界団体が強い懸念を表明している。今回の承認によってクラーケンは、暗号資産企業として初めて中央銀行の決済インフラに直接アクセスできるようになった。

マスターアカウントは金融機関がFRBに保有する口座で、Fedwireなど、アメリカの主要決済システムに直接接続できる。クラーケンはこれにより、仲介銀行を介さずに米ドル決済を行えるようになり、暗号資産市場と従来の金融インフラの統合が進む可能性がある。

これに対して銀行業界は強く反発している。地域銀行を代表する独立コミュニティ銀行協会(ICBA)は、暗号資産関連企業にFRBの決済システムへのアクセスを認めることは、金融システムの安全性や公平な規制枠組みを損なう恐れがあると警告した。

また、大手銀行を代表する銀行政策研究所(BPI)は、カンザスシティ連銀が「限定目的のマスターアカウント」を承認したことについて、「FRBが関連する政策枠組みを最終決定する前に承認された」として透明性や規制の一貫性に懸念を示した。さらに、クラーケンが連邦預金保険の対象外である点もリスク要因だと指摘している。

今回の承認は暗号資産業界にとって画期的な前進とみられる一方、銀行業界との対立を一段と激化させる可能性がある。アメリカでは現在、CLARITY法案(暗号資産市場構造法案)などを巡り、金融インフラへのアクセスの在り方が政策上の大きな争点となっている。

|文・編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock

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