東証グロース市場上場のマンガ・アニメIP事業会社・株式会社TORICO(トリコ、7138)は17日、Web3ゲーム企画・開発を手掛ける株式会社Mint Town(ミントタウン)との間で資本業務提携契約を締結したと発表した。第三者割当増資と新株予約権発行により総額約4.7億円(差引手取概算額約4.6億円)を調達し、全額をイーサリアム等の暗号資産購入に充当する。また、18日には暗号資産(仮想通貨)投資事業特設サイト(https://eth.torico-corp.com)を公開し、事業概要や経営メンバーの視点、関係者の紹介などを掲載した。
トリコは、ミントタウンが管理・運営するファンド「Shooting Star1号投資事業有限責任組合」に対し、普通株式2,298,708株(発行済株式総数の20.35%)を第三者割当で発行する。さらに同ファンドは既存株主から1,143,292株(10.12%)を相対取引で取得し、合計23.35%の株式を保有して筆頭株主となる。
業務提携では、ミントタウンのWeb3業界での実績・ノウハウを活用し、暗号資産の運用意思決定支援、セキュリティ・カストディ管理、海外Web3事業者との連携による新規事業創出、国内外への積極的なIR戦略支援を行う。
ミントタウン代表取締役でモバイルゲーム大手gumi(グミ)創業者、トークン型コミュニティプラットフォーム「FiNANCiE(フィナンシェ)」を運営するフィナンシェ社長の國光宏尚氏は、2026年6月末の定時株主総会でTORICO取締役として指名されることが合意された。取締役就任までの間、國光氏はDAT事業アドバイザーとして暗号資産投資事業を支援する。國光氏は2021年7月にgumiの取締役を退任して以来、4年半ぶりの上場企業での役員就任となる。
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トリコは2025年7月に暗号資産投資事業の開始を発表しており、今回の資金調達はその実行資金となる。同社が暗号資産投資に参入する最大の理由は、マンガ・アニメといったエンターテインメント領域と暗号資産・ブロックチェーン技術の高い親和性だ。
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初期段階では、イーサリアム等の主要暗号資産を早期かつ十分な規模で取得し、ステーキング等によるインカムゲインを生み出す。得られた収益は既存事業の成長投資へ還流させ、企業価値の向上を実現する。
國光氏はnote記事で、ビットコインではなくイーサリアムを選んだ理由について「トレジャリー1.0の限界を突破し、2.0へ進化するために必要な機能がETHにしかない」とし、「ETHは保有しているだけでキャッシュフローを生む資産」と説明。「積み上げるトレジャリー」から「稼ぐトレジャリー」への質的転換を目指すとしている。
トリコは主力のEC事業が特定ヒット作品に依存する構造的課題を抱え、2025年3月期は営業損失260百万円、2026年3月期も営業損失134百万円の見通しとなっている。暗号資産投資事業により財務基盤を強化し、中長期的な企業価値の向上を目指す。


