イーサリアムのブロックスペース取引プラットフォーム「ETHGas(イーサガス)」は17日、ポリチェーン・キャピタル主導によるシードラウンドで1,200万ドル(約18.7億円)の資金調達を完了したと発表した。同ラウンドには、ステーク・キャピタル、ブルーヤード・キャピタル、SIG DT、アンバー・グループなど著名なイーサリアム投資家が参加している。
イーサリアム共同創設者のヴィタリック・ブテリン氏は、イーサガスの発表に先立つ12月6日、「トラストレスなオンチェーン・ガス先物市場」の必要性を指摘していた。同氏は「今はガス代が安いが、2年後はどうなるのか」というユーザーの懸念に対し、技術的な説明だけでなく、市場メカニズムを通じたヘッジ手段の提供が不可欠だと述べていた。イーサガスの市場開設は、この提案を実現する形となる。
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イーサガスは資金調達と並行し、主要バリデーター、ビルダー、ネットワーク参加者から総額8億ドル(約1,245億円)のブロックスペース供給契約を獲得した。これにより、イーサリアム初の「トランザクション枠の先物市場」が誕生する。
企業やアプリケーションは、この市場でトランザクション枠を事前購入し、指定した時刻にトランザクションを確実に実行できる。これは航空券の早期購入に似た仕組みで、価格変動リスクを回避しながら安定したサービス提供が可能になる。同市場は毎秒1万トランザクション以上の決済能力を持つ。
イーサリアム研究者のジャスティン・ドレイク氏は「ユーザーはリアルタイム性を求めており、唯一の前進策はプリコンファメーション(事前予約)への投資だ」と述べている。
資金調達の一部は、ユーザー体験レイヤーでガス代を完全に排除する業界横断的取り組み「Open Gas Initiative(OGI)」の拡大に充てられる。OGIに参加するether.fi(イーサファイ)やEigenLayer(アイゲンレイヤー)などのプロトコルは、ユーザーのガス代を肩代わりする。つまり、ユーザーは実質無料でトランザクションを実行できる。
第1フェーズでは、すでに12万7,000人以上のユーザーがガスID(Gas ID)を生成し、過去のガス代支出として約27万ETH(約527億円)が特定された。OGIは、ガス代を「ユーザーの負担」から「企業のユーザー獲得ツール」へと転換する狙いがある。
イーサガスの目標は、イーサリアム上のすべてのトランザクションを即座に、予測可能に、かつ無料で実現することだ。イーサリアム共同創設者のヴィタリック・ブテリン氏も、リアルタイムユーザー体験の実現には事前予約の仕組みが不可欠であることを認めている。今回の資金調達により、イーサガスはイーサリアムの「高額・不安定なガス代」という最大の課題解決に向けて大きく前進した。
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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=155.59円)



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